今日は野田新総理の所信表明演説を聴いた後、日本生態系協会主催の国際フォーラム「復興から見える新たな日本の創造」に行って来ました。
着いたときには既に2つ講演が終わっており、3人目の途中でしたが、中々興味深いお話を聴くことができました。会場である津田ホールがほぼ満席で、関心の高さが見て取れました。
米国ミズーリ州緊急事態管理庁副長官のティモシー・ダイムラー氏がアメリカのミズーリ州の災害対策について報告され、宮城県利府町長の鈴木勝男氏と岩手県山田町長の沼崎善一氏が町の被害と防災対策、今後の復興策について話され、東京都市大学教授の涌井史郎氏が総括をするという流れでした。そして、最後には衆議院議員で東日本大震災復興対策担当の末松義規議員が挨拶に来られました。
涌井教授の話をまとめると、人が自然とうまくかかわりながら農林水産業を中心とした生産を維持していく仕組みである社会生物学的生産ランドスケープをいかに築いていくかということでした。
日本は世界の0.25パーセントの土地しかないにも関わらず、世界で起きている地震の2割は日本で起きており、世界有数の豪雪地帯も日本にあるという大変厳しい自然環境の中で暮らしています。
そんな自然環境の中で暮らすために人々は様々な知恵をつかい自然との調和を図りました。地震が来ても振動を「いなす」ことができるように、衝撃を分散できる木の組み方をして建物を組み立てたり(Ex.五重塔)、地すべりを防止するために田だなをつくり農業を行ったりと自然に合わせた生活を作り上げていったのです。
昔は嶽と奥山という山の神の領域があり、人が手を入れて維持する里山があり、野辺、野良、そして里があるという構造がありました。しかし、江戸時代末期から人々が里山に手を出すようになり、自然との調和が崩れてしまいました。
今後の課題は戦後の復興のために一極集中となってしまった産業を多極分散とし、小単位で伝統や生物多様性を尊重する自立的なコミュニティーを作ること。そのためにはエネルギー、情報、アクセス、エコロジカルという4つのコンセプトが重要になります。2050年には人口が半減するであろう県が16もあります。即急に求められるのは地域再生。廃県置藩的な発想でが必要で、農業や水産業を産業のためにやるのでなく、その地に残る、その地を維持するためにやるという思いも大事。「森は海の恋人、川は仲人」なのです。
余談ですが、涌井教授がおっしゃられたなかで、「風」は「多くの人々が共有できる五感の総和で土地や事情を表わす」ということで「風景」や「風土」について説明しておられました。確かに単語の意味としてしっくりきます。
しかし、「風」のもともとの形は鳳凰です。甲骨文字には鳥が冠をつけた形が現在の「風」という漢字の元となっています。昔の人々は風が吹く=鳳凰がきたと捉えたのですね!東西南北にそれぞれ神がおり、同様に四方にいる鳳凰がそれぞれ神の言葉を広める役割を果たしていました。鳳凰が伝えた言葉で土地の特徴が定められたため「風土」という言葉があるのです。
白川静を読み漁ったものとしてこれだけは書きたかった!でも、甲骨文字が使われたのは3500年前ですが、昔の人々の想像力の豊かさと自然と一体化した感じが伝わってきませんか??
穂積
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