市民参加でニッポンの課題について考える勉強会「しろうとゼミ!」の記念すべき第一回を開催いたしました。3.11東日本大震災、福島原子力発電所事故を受けて、それぞれの3.11、3.11からのシフトチェンジとい うテーマで、原子力資料情報室の澤井正子さん、社会学者の宮台真司さん、ホスト役に環境NGO虔十の会の坂田昌子さん、司会とアコースティックライブをComugiさんというメンバーとともに進めました。
イメージビデオの上映に続き、山崎が問題提起のプレゼンテーションを行いました。3.11以前と以後、国政や行政。業界、社会全体が原子力についてどういう姿勢をとってきたか、上関原発建設を例に問題提起、原子力に限らず公共事業と自然との関係をどう考えるか、3.11を踏まえ、私たちの生き方、暮らし方を地球を視野に入れて見直すべきとい考えを述べさせて頂きました。(資料参照)
続くセッション1では、福島原子力発電所事故をどの ようにとらえるか。原子力政策が推進一本槍で原子力が内在するリスクや問題点をまともに議論もせずに来たこと、危険を訴えてきた反対の声を黙殺する体制ができあがっていること、メディアも真実を伝えることができていなかったこと、日本人はおとなしすぎる、福島原発事故のような原子力災害に直面してもっと怒るべきなどといた点について、澤井さん、坂田さん、山崎で話し合いました。
セッション2では議論を進めて、原子力に代わる自然エネルギーをどのように評価すべきか、どのように伸ばすか。自然エネルギーについては問題や限界も指摘されているが、まずは徹底的な需要分析をすること、原発を止めた場合、本当に足りないのはどのくらいの量なのか、どこでどういった用途のエネルギーが不足するのかといった点、地域の単位でエネルギーの地産地消を実現する取り組みの可能性などについて議論しました。
後半では宮台真司さんが駆けつけてくださり、持論の共同体自治の重要性について訴えられました。技術論ではなくて社会の統治の仕組みを議論すべき、正しいことが正しく選択されない社会を問題にすべき、国、国政は当てにならない。たとえばエネルギー政策についても、身近で顔が見える地域自治のなかで一人ひとりが納得できる選択を行えるようにすることが大切、今、私たちに求められているのは暮らしやライフスタイルを変えることであって、エネルギー源を原子力にするか自然エネルギーにするかといったレベルの話ではない。地域で成功モデルをいかに創ってゆくかが勝負になる。示唆に富むお話でした。
Comugiさんのライブもすばらしかった。パーカションとウクレレの弾き語り。暖かみのある歌声は厳しい議論の中で、ホッとできる瞬間を創ってくれました。
この日の議論を踏まえて、「しろうとゼミ! Vol.02 ニッポンの直しかたその2」を7/16(土)18:30より山内地区センターで開催します。Vol.02では皆さんが主役、ご意見をお聞かせください。
当日は、「山崎誠のニッポンの直しかた、5つの提案」をプログラム上に掲載しお配りいたしました。詳しくはこれから続けてゆくしろうとゼミ!のなかでご説明してゆきます。
提案は以下の通り
「山崎誠のニッポンの直しかた、5つの提案」
自然共生社会へ。地球を大切に生きる
空気、水、大地。私たちのまわりに当たり前にあると思われていたものがいま、脅かされています。福島原子力発電所の事故で広がった放射性物質は福島県のみならず首都圏にまで到達しています。また、海洋に放出された汚染水の環境影響も甚大です。環境を破壊するものは原子力発電所だけではありません。山を削り海を埋め立てる公共工事もかけがえのない自然環境の脅威となります。私たちは生態系が与えてくれる様々な恩恵に支えられて生きていること、地球という環境なくしては生きてゆけないこと、地球は有限なものであること、これらあたりまえのことを前提とした、自然共生の価値に基づく社会を創る。自然共生社会の実現を目指します。
【具体的な施策】不要な公共事業の見直し、環境アセスメントの充実、里地里山里海の保全と活用、森林の元気回復、有機農業の推進、食料自給率の向上、生態系サービスの価値の導入など
物質的な豊かさから、心の豊かさへ
物質的な豊かさの極限に達した現代社会。人の心は乱れ荒んでいる。自殺、孤独死、児童虐待など、これまで経験したことのないような悲劇が繰り返されています。人と人との豊かなつながりがあってこそ人間らしく生きることができる。人と人の違いを認めつつ尊重し合う。経済成長による社会の維持は限界に達しています。これから目指すべきは定常型の社会であり、限られたエネルギーや物を大切に共有する社会ではないか。物質的な豊かさ、経済的な豊かさの追求から、心の豊かさに価値を置く社会を目指します。
【具体的な施策】省資源・省エネルギーの実現、脱原発・自然エネルギーへのエネルギーシフト、循環型社会の実現、地域コミュニティーの活性化、大量生産型経済からソフト型高付加価値産業へ、家族の団らんの確保、医療介護の充実、一人ひとりの個性と価値を尊重する教育の実現など
新しい公共、市民の力で社会を動かす
極限まで膨らむ財政赤字。借金が1000兆円にも到達しようとする日本にあって、国や地方自治体への依存をできる限り軽くしてゆかなければなりません。「私」と「行政」の間を埋めるものとして「新しい公共」があります。NPOや自治会組織、各種法人といった私たちの身の回りの市民組織が民間のノウハウ、アイディアで新しいサービスのかたちを実現する。地域コミュニティーの自治と自立、活性化がカギになります。地域主権と相まって「新しい公共」が効率的かつ効果的なサービス提供を可能にするコンパクトな社会を目指します。
【具体的な施策】寄付税制の見直し、規制緩和、コミュニティービジネスの推進、地域主権改革の推進、財政規律の確保、財政再建など
地球の幸せなくして日本の幸せはない
テロとの戦い、民主化の動き、世界の市場メカニズムが生み出す貧困や環境破壊など、世界中で血と涙が流されています。複雑に絡み合う国際関係の駆け引きの中で、日本はどう生きてゆくべきか。世界の国々のニーズにきめ細かに応えること。経済、農業、環境、科学技術、文化芸術など様々な分野で、国、地方自治体、民間、個人など様々なレベルの主体が外国との相互依存関係を創る。日本抜きでは考えられない分野をいくつ創り出すことができるか。地球の幸せに日本として最大限貢献することが、日本の安全と安心、日本の幸せにつながる道になります。
【具体的な施策】人と技術の交流促進、交換留学の推進、多様な経済援助、フェアトレードの促進など
100年後に責任を持つ政治
自分のことしか考えない政治、選挙に勝つための政治、ビジョンなき政局政治が、日本の劣化に拍車をかけている。自分たちに都合の悪いことを先送りにし、特定の企業や団体の利益のためにのみ動く、独りよがりの「政治主導」、安易な人気取りの政治が日本をミスリードしている。日本のために政治は何をすべきなのか。10年、30年、100年先を見通して日本をリードする政治がいま求められているのではないか。国民は日本の未来を託す議員を選ぶ。真のシティズンシップが正しい政治を創ります。
【具体的な施策】選挙制度の見直し、企業団体献金の禁止、議員の政策調査能力の向上、シティズンシップ教育の導入、情報公開の徹底など
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