東北地方太平洋沖地震が3月11日14:46、三陸沖を震源に発生しました。
マグ二チュード9.0と日本の地震史上最大。宮城県北部では震度7が観測され、広く岩手、宮城、福島から関東地方まで大きな揺れをもたらした大震災となりました。また、同時に発生した津波も地域によっては15mの高さにまで達し、建物を根こそぎ破壊する猛威をふるうこととなりました。19日7:00時現在の被害状況は、死者6,911名、行方不明10,692、負傷者2,611、孤立22名、避難者386,739名(警視庁調べ)に達し、過去にない被害を出しています。横浜でも建物の外壁がはがれる、建物内では高所から物が落ちるなど被害が出ています。
今回の災害の特徴としては、
- 被害規模が防災計画の想定を遙かに超えるものであること。
- 地震、津波、原子力発電所事故と異なる災害が同時多発的に発生していること。特に福島第1,2原子力発電所ではこれまで例のない深刻な事故が起こっていること。
- 複数の県、自治体にまたがる広域災害であること。また、行政の機能が失われている地域が複数存在していること。
- 本災害に対する対応を誤ると日本国に取り返しのつかない後遺症を残しかねないこと。
- 東南海地震、東海地震など他の地域の発生確率が高い大地震が連動して起こる可能性がある。
これまでの災害対策の常識を越える対応が求められます。国が主導権を握り、トップダウンの救援、復旧、復興を進める必要があります。
これまで、地震防災について研究して参りましたが、これまでのネットワークを活かして、災害に対して、一刻も早い救助、復旧、復興に全力で取り組みます。
これまで災害発生から1週間の取り組み状況をご報告いたします。災害対応の政策提案、各種救援要請、問い合わせなどに対応してきました。
3月11日(金)
名古屋大学にてSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ公開フォーラムに参加中に大地震が発生、震源から離れた名古屋であったが、それでも大きな揺れを感じた。大地震の発生を受けて、横浜に戻ろうとするも東海道新幹線が一時不通に、その後の混乱のために名古屋泊となる。
3月12日(土)
朝一番の新幹線で地元に戻る。午後から福島第1、2原子力発電所の事故に関する情報収集に原子力発電所に詳しい方の話を聞く。福島第1、2原子力発電所事故について圧力容器および格納容器の設計者である専門家の記者会見に出席。今回の事故は、①非常電源を含めすべての電源を喪失し、核燃料を冷却することができなくなるという大変危険な状態になっていること、②取り得るすべての策を講じてとにかく冷やす必要があること、③水素爆発が発生するなど機器の設計上の想定を超える事象が発生していることなど、理解することができました。総理から半径20km圏内からの避難指示が出されましたが、核燃料が熔融するなどの最悪な事態を想定するとさらに広範にわたる避難も検討することが求められる可能性があります。
3月13日(日)
桂小学校防災拠点運営委員会の会合に参加。今回の災害を受けて地域の防災の大切さを改めてメンバー間で共有することができました。
夕方から、議員会館にて文科省の安全安心科学技術プロジェクトでお世話になっている防災の専門家と今回の災害対応について議論。
- GIS(地理情報システム)を有効活用した地域マネジメントについて
- コミュニティーを単位とした疎開方式の復旧復興プラン
- 罹災証明発行など復旧復興に必須な作業のための被災者登録のシステム化
- 原子力発電所からの避難者の把握のためのパーソントリップ調査の実施
といったテーマをまとめ提案書を作成する。
提案書はこちら 東北地方太平洋沖地震に関する提案書_20110314_山崎誠をダウンロード
引き続き翌日スタートする計画停電に関する問い合わせに深夜まで対応。海上自衛隊のイージス艦を福島原発に派遣する提案(イージス艦に搭載された発電設備を使い原発に電力を供給するアイディア)について経産省、防衛省と相談する。
3月14日(月)
経済産業部門会議、原発事故に対する原子力安全・保安院の説明を聞く。短時間で、かつ質問にもろくに応えようとしない会議に憤る。国家の存立に関わるような事態が起こっているにもかかわらず、事態を隠蔽してすまそうとする態度が、一部議員にもみられることに怒りを感じる。適切な情報開示と正しい分析がこういうときこそどうしても必要なはず。それができていないことに危機感をおぼえる。
午後は民主党東北地方太平洋沖地震対策本部総会に参加、その後、有志議員の会が集まって災害対応について議論。提案書を対策本部に提出することとなりました。
3月15日(火)
横浜国大佐土原・吉田研究室へ。佐土原先生(防災、環境政策、都市計画の専門家)、吉田先生(エネルギー利用の専門家)、稲垣先生(防災の専門家)とディスカッション。今回の災害に対する対応策、今後の復興の考え方、今後のエネルギー問題、計画停電についてなどさまざま助言を頂くことができました。
東京災害医療センター(立川)の原口先生訪問。放射線による災害の対応について医療の観点から意見を聞く。東海村の臨界事故をベースにした放射線事故対応マニュアルについて説明を伺いました。事故が発生した場合のトリアージの仕方がポイントになるとのこと。急性期で対応しなければならない人は限定的である、それ以外の軽度の人に対しては治療とともに風評被害などもあり社会的、心理的な影響を最小限に抑える工夫をしなければならないとのこと。専門の医療を提供できる医師は全国で10名程度、こうした医師を核にして、各県市町村で医療に当たる医師のネットワークを構築する必要があるとの意見を頂きました。
3月16日(水)
有志議員の会による緊急提言のとりまとめ。有志議員で3回ほど会合を持ちそれぞれの専門分野に関する提言をまとめました。緊急時につき、提言のあり方から議論となりましたが、簡潔かつコンパクトな内容でまとめることとなりました。
大項目は以下の通り
- 希望する危難生活者の集団疎開を直ちに行うこと(この点についてはすでに動きがあります。特に、子どもたちや妊婦、病人、高齢者などを中心にコミュニティー単位の移動の重要性を訴えています)
- 福島原子力発電所事故のマネージメントは国が全力を傾注して行うこと
- 計画停電のあり方を根本的に見直すこと
- 復旧復興のための特別立法を迅速行うこと
このほか様々な提案がありましたが、中長期的な課題は第2弾とすることとしてまとめました。17日に藤村対策本部事務局長に提出することとなりました。
提言書はこちら 緊急提言(東北地方太平洋沖地震)230316_rev1をダウンロード
3月17日(木)
本会議が開催されました。災害でなくなられた方に対して黙祷を捧げた後、災害対応で必要な、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出)の法律案を可決いたしました。
環境部門会議が開催され、環境省として実施している災害対応についての報告があり、環境部門会議として政策提案、特別措置法案を準備してゆくことが確認されました。
原発事故に関する緊急集会に参加、情報収集。緊急事態は継続していることを確認。
3月18日(金)
民間企業への支援要請について検討。例えば前職のエンジニアリング会社日揮にお願いすることができることが様々あるのではないか、提案をまとめております。
八都県市首都直下地震対策協議会の研究会に参加。京都大学防災研究の林春男教授の研究会、具体的に動き出している災害時の情報管理の取り組みを知り、先の提案書にまとめた内容も加味して対応の充実を図りたいと思います。(緊急地図作成チームへの参画を検討します。)さらに今後続いてゆく復旧復興のプロセスを長期的な視野にたってどのようにまとめてゆくかその中で政治のリーダーシップの重要性を確認しました。
3月19日(土)
横浜駅、長津田駅にて街頭募金を行う。多くの方々から暖かいご支援を賜り感謝。募金箱に列ができる姿は感動的でした。ありがとうございます。今後も続けて参ります。
緊急の地域懇談会を開催。東北地方太平洋沖地震に関する報告を行い、様々意見をお伺いしました。特に原子力発電所の事故に関してはみなさま大きな不安を感じておられることが改めてわかりました。パニックを起こさずにどのように情報を発信してゆくか大変重要な課題です。検討は悲観的に、行動は楽観的に、危機管理の鉄則を改めて再確認させていただきました。
今回の大災害ではとにかく国がリーダーシップを発揮しなければなりません。国を挙げて復興に取り組む日本を創ります。
写真は(上)災害医療センター原口先生、(下)八都県市首都直下地震対策協議会の研究会
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