静岡県の中部電力浜岡原子力発電所を視察してきました。
約50万坪という敷地に1号機から5号機までの原子炉が設置されている。そのうち1,2号機は廃炉が決定しており停止中、5号機は昨年8月11日の駿河湾を震源とする地震の影響で停止している状況。50万坪といっても5機の原子炉が並ぶと大変狭く感じられる。たとえばどれか1つの原子炉で事故があった場合など、他の原子炉への影響がでないのか心配となりました。
一番恐れていて対策に力を入れているのが地震。プラント施設の耐震化のほか、緊急対策本部のおかれる別館の免震化など震災対応にはかなりの投資をしていることが分かりました。地震の加速度1000ガルを基準に耐震化を進めているとのこと、当初の想定600ガルを大きく超えた地震にも対応できるようにとの配慮が見えます。
廃炉が決定した、1、2号機についても30年という運転期間ですが、耐震補強が必要でありそのためのコストと新設のコストの比較で、廃炉+6号機新設という選択肢が選ばれたとのこと。
昨年8月11日の地震では、5号機の揺れが他の号機に比べて大変大きいという現象が現れました。(3号機147ガル、4号機163ガルに対して、5号機は426ガル)このような大きな差が生まれた原因をオフセットVSP調査という手法で地質調査を行い分析しているとのこと。地震波の伝わり方が遅い低速度層が存在しておりその位置関係から5号機に地震波のエネルギーが集中したのではないかとの報告がありました。当初想定されていないような地震の発生メカニズムがあるとのこと、地質調査の重要性、徹底した調査の必要性が認められるところです。
関心のある温排水問題については、きわめておおらか。大量の7℃温度上昇した温排水が、海岸から放水されている様子を確認しました。一部は県の温水利用研究センターに送られているとのこと、魚介類の養殖実験など行われています。
現場を視察して原子力発電所がシステムとして管理されていることを理解することができました。核廃棄物の処分も含めて今後、原子力エネルギーとどのようにかかわってゆくべきか、熟議が必要です。
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