環境委員会で環境大臣の所信に対する質疑が行われました。地球温暖化対策、生物多様性、水俣病対策等について、各委員からの質問がありましたが、レベルの高い、大変有意義な議論であったと思います。大臣他、政務3役も自分の言葉で責任を持って回答しており好感が持てました。
地球温暖化については、CO2削減目標の25%、国民の負担に関する考え方について、ガソリン暫定税率廃止の影響、エコポイント、COP15の目標など多岐にわたる論点について議論が展開されました。エコポイントについては、拡大存続する方向で取り組むとの大臣の表明がありました。省エネ住宅を視野に入れたいとのこと、展開が楽しみです。
私も質問のチャンスをいただき、国会で初めての質問に立つことが出来ました。多くの方が、地球温暖化に関する質問でしたので、私は生物多様性について、そして環境政策全般について議論することといたしました。インターネットでごらんいただけます。ここをクリック
質問のポイントは以下の通り。
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1.生物多様性について
(1) 生物多様性の意義と環境政策における位置づけについて(環境副大臣)
(論旨)第3次生物多様性国家戦略の序文「私たち人間も地球という大きな生態系の一員であり、地球によって生かされている・・・人間を含めた地球上のいのちがお互いにつながりあい、支えあっていることをあらためて認識し、常に謙虚にそして慎重に行動しなければなりません。」この考え方が、これからの人類の行動指針とならなければならず、環境政策の基本理念になるべきものと考える。
(2) アジアにおける生物多様性の特徴と地域連携の意義について(環境副大臣)
(論旨)鳩山イニシアティブで地球温暖化について途上国支援の構想を打ち出していますが、それとあわせて生物多様性の分野でも諸外国との連携や途上国支援が重要である。具体的には、東アジア等を視野に入れて情報の一元管理する生物多様性センターで進んでいる地球規模生物多様性モニタリング推進事業、国連大学高等研究所と進めている国際SATOYAMAイニシアティブなどをどう発展させるか
(3) ABS法の世界の動向と日本の課題について
(3.1) 日本の遺伝子資源へのアクセスについて(環境副大臣)
(論旨)日本の遺伝資源へのアクセスは現在どのように取り扱われ、どのような取引が存在しているのか。法律やガイドラインを早急に整備する必要があるのではないか。資源の安全保障という観点から重要。
日本は天然資源がないというが、深海など未知の生物がいる地域があり、遺伝資源が眠っている可能性がある。これらを守っていくことが、国益上も非常に重要なものであると考える。価値がありそうなものは前もって把握しておく必要がある。今後日本の有望な遺伝資源をどのように把握していこうとしているのか。
生物多様性センターの情報ネットワークの中に遺伝資源の要素を入れるべきではないか。重要な遺伝資源となる生物がどこに生息・生育しているか等の情報をしっかりと整理しておくべき。そうしたデータがあれば、それに基づき遺伝資源の保護に関する検討も進むはず。
(3.2) 遺伝資源の保護のための利益還元の仕組みづくりについて(環境副大臣)
(論旨)遺伝資源を利用して得た利益は、その地域の保護に還元していくべき。生物多様性の豊かな地域を守るためにも、保護に係るコストを受益者全体で負担していく仕組みをつくるべき。
(4) 環境影響評価について
(4.1) 上関原子力発電所の建設に関する中国電力によるカンムリウミスズメの調査に関する環境省としての見解(環境大臣政務官)
(論旨)中国電力によるカンムリウミスズメの調査に関しては、4月の環境委員会における政府の答弁に対して、日本鳥学会から訂正の要望がなされていると聞いているが、環境省としての見解は。
(4.2) 上関原子力発電所の建設に伴う環境アセスメント実施後のフォローのあり方(経産大臣政務官)
(論旨)アセスの終了後は、事業者に対する指導、監督は、基本的に事業を所管する経済産業省が責任を持つものと理解しているが、これらの学会等からの要望に対して、これまで事業者にどのような指導をしてきたのか。また、当該地域の豊かな生態系を保全するために、事業者においては、どのような対応がなされているのか。
(4.3) 自然保護の場面での、関連省庁との連携について(環境副大臣)
(論旨) 環境省として、もっと事業を所管する他省庁とも連携し、積極的に対応すべき。環境省では、現在、環境影響評価法の施行後10年の検討が行われていると聞いているが、豊かな自然環境を守り、生態系の保全を推進していく立場から、関係省庁との連携も含めて、どのように取り組んでいく考えか。
2. 環境政策の基本理念について
(1) 環境政策の基本理念について(環境副大臣)
(論旨)地球温暖化対策・生物多様性・循環型社会と並列する環境行政を再構成する必要があるのではないか。環境政策について、日本の行政全体、すべての国民をリードする基本理念を打ち立てるべきではないか。その核になるのは、生物多様性の考え方にあると考える。
(2) 日本の環境行政の組織上の課題について(環境副大臣)
(論旨)日本版CEQ(米環境諮問委員会)構想、政治主導による政策形成のための理念と組織作り。内閣府レベルで環境行政全般をリードする組織を法的にも整備すべき。(内閣府設置法4条1・2項に、環境保全に関する言及は見られない)地球温暖化問題に対する閣僚委員会の環境版、国家戦略局にぜひ環境政策形成機能を持たせるべき。
(3) 環境に関する情報を共有する戦略プラットフォームについて(環境副大臣)
(論旨)地理情報システム(GIS)をベースにした情報共有の仕組みづくりを進める。各省でばらばらに開発・管理するのではなく全省庁統一のデータベースでデータを共有しそれぞれの情報を活用することで真の戦略立案が可能となる。
(4) 国際社会における日本の役割について、COP10への意気込み(環境大臣)
(論旨)「木を見る西洋人、森を見る東洋人」(リチャード・E・ニスベット)といわれる。複雑系であり未知なる要素を多く含む地球環境を論じるには、日本人的(東洋的)な全体把握能力、自然との共生の文化をもつ日本人がリーダーシップをとるべき
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