中国電力が進める上関原子力発電所建設現場を国会議員5人で視察してきました。あいにく台風の通過で雨模様、波も荒く、祝島へ渡ることもできない状況となりました。陸上部分の工事は少しずつ進んでいる様子が分かります。海上部分については今のところ進捗はありませんが、近く動き出すというお話もあるようで、大変緊迫した状況です。
現地で中国電力の担当と意見交換をすることができました。主な論点は以下の通り。→以下が中電の回答
1. 日本生態学会ほか学者の皆様が提出している要望書についてどのように考えているのか
→誠実に対応しているが、アセスメントのやり直しについてはお受けできない。環境監視委員会の専門家の意見を聞きながら対応している。たとえばタイドプールを設ける、ビャクシンの小島を残すなどできうる限りの対応はとっている。(※環境監視委員会については、原子力安全保安院の指示で設置している)
2. カンムリウミスズメ(世界に5000羽ほどしか存在しないとされる希少種、トキに次ぐ存在)に関する最新の調査結果をどう考えるか。
→独自に月一回の調査を実施しているが、繁殖の可能性等確認されておらず、工事の影響を受けるとは特段考えていない。(最新の中電作成の資料をみても、カンムリウミスズメの記述がない)
3. 原子炉設置許可申請に関して原子力安全保安院から、地質調査結果について追加の調査指示が出ているが、その結果によって計画自体の変更が求められるようなことはないか。そういった状態の中で、埋め立て工事のみ先行して実施することはできないと思うがどうか。
→これまでに実施した調査で大きな問題はない。計画変更が必要になるようなことは想定していない。より安全に配慮したための追加調査指示と考える。埋め立て工事と原子炉設置許可申請は平行して作業してゆく。
4. 温排水が環境に悪影響を及ぼすと考えるがどうか
→水中放水を予定しており、温度上昇の影響をできるだけはやく拡散するように計画している。1℃の上昇は放水口から1.7kmほどとシミュレーションしている。配管内の保護のために添加する次亜塩素酸の影響も放水時にはゼロとなる。
5. 台風時など船が出せないような時、祝島の住民はどのように避難すればよいのか。避難計画について原発から10kmの住民について考えなければならない。祝島はわずか3.5kmに位置する。
→避難計画については自治体の責任範囲になる。今後、住民の皆さんが安全に避難できるように検討してゆく。
6. そもそも工事が遅れているがその理由は何か。
→反対派の妨害がその原因である。
およそ以上のようなやり取りがなされました。このやり取りからは住民、国民の信頼は得られないのではないかというのが率直な感想です。「建設ありき」いう前提でのお話では納得は得られない。この際、計画の抜本的な見直しも含めて、28年前の決定にさかのぼってゼロベースでの議論も求めたいと思います。
また、地域の皆さんのお話も印象的でした。原発建設で街が、住人が、親戚同士までもが二分されてしまったこと、賛成派を増やすための戦術、地域振興のための花火大会の話など、結局、お金が仕切る構図がはびこっていることがわかりました。この点でも問題は大きいです。
写真は監視小屋にて、田浦の自然について説明を聞く
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